シブヤ大学という、誰もが参加できる学び場を運営しているNPO法人があります。
そこで開催された授業、
南極経由、宇宙行き。──南極から宇宙まで、極地とよばれる場所の住まいとその作り方、暮らし方について
に参加してきました。(先月の話ですが。)
スタッフではなく、一市民としての参加です。
もちろん、南極行きの訓練とも関係ありません。
自分の職場には何人もの過去に南極に行った先輩がいるのですが、
これまで、南極で何を考え、何を思い、何を感じたかというような話を
聞いたことがありませんでした。
また、自分とは違った任務で南極に行ったことのある人が、
どういう視点で南極での生活を見ていたのか、という興味もありました。
自分にとって非常に新鮮で、有意義な時間を過ごせました。
少し私見も含めつつ、村上さんのお話をまとめてみます。
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講師の村上さんは学生時代、建築の勉強をする中で、極地の人々の
暮らしを知りたいと思われたそうです。
極地に行くだけでなく、移住することで分かることもあるのではないか、
そう考えられた村上さんは今から4年前、第50次の南極越冬隊に参加されます。
長い南極生活の中で、村上さんが考えられていたことは、哲学者・ハイデッカーの
「存在と時間」に落ち着いたそうです。
この本の中で書かれているのは、「自分たちの存在とは何か」ということです。
南極で発生するブリザード。
ブリザードの中、屋外にいると、明るいにも関わらず上下左右全てが真っ白で、
何も見えない状況になります。
何も見えない南極で、村上さんは当たり前に存在することなんて、
何も無いと感じられたそうです。
南極では、日本なら当たり前のことも、当たり前ではありません。
南極にも季節はありますが、日本のように四季の変化があまりはっきりとはしていません。
そこで、お花見、祭り、スポーツ大会、誕生日会のようなハレの場を用意します。
曜日や時間を規定するものはありませんので、いつ働き、いつ休むか自由に決めることも可能です。
しかし、隊員に曜日感覚を思い出すために金曜日の昼食には決まってカレーライスが出ます。
こうやって、隊員の生活にリズムをもたせる工夫をしています。
(この話のあと、会場となったレストランで特別に作ってもらったカレーライスを頂きました。)
南極は帰ろうと思っても容易に国内に帰ることができないという意味で
「宇宙よりも遠い」場所です。
こんな場所で日本は50年以上も南極で観測を続けています。
この「続ける」ということに意味があります。
日本の南極観測で地球環境の僅かな変化が分かってきたこともあります。
一番有名なのはオゾンホールの発見ですが、それ以外にも地球温暖化や環境変化などの
新たな知見が生まれています。
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自分は南極で過ごす中で、どのような価値観の変化が起こるのか、今から楽しみです。
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