2013年3月5日火曜日

冬期総合訓練2日目(3月5日)その2

防寒着に着替えて準備完了。
この日の天気は快晴。防寒着といってもレインウエアで十分なぐらいです。



まずは、訓練場所に向かって歩きます。



30分以上歩いて、訓練地に到着。
お昼を食べた後、ルート工作の準備のため、
まずは自分の歩幅を調べます。


50m先の旗まで何歩で歩けるかを調べて、そこから一歩分の
歩幅を調べます。とはいいつつも、登りと下りでは歩幅は違うし、
疲れてくれば歩幅が狭くなるのは常識で、実際の南極では
距離計という道具を使って、距離を調べます。


歩測が分かったところで、ルート工作開始。
ハンド・ベアリング・コンパスという精度よく方位を測る道具を使って、
進む向きを決めて、歩測で距離を測ります。


みんな歩測がバラバラになるので、適当に妥当そうなところを
チェックポイントとして進めていくので、だんだん本来のコースから
ずれていくようです。

過去には自分の歩測を信じて池に落ちた人もいたのだとか。
自分のチームも危うく池に落ちそうになりました(笑)
最終的にはゴールから60mぐらいずれてしまいましたが、
優秀なグループは10mぐらいの誤差で収まったところもあったそうです。

これで2日目の屋外訓練は終了。屋外での活動は4時間ほどで、
身体を雪に慣らすのが目的だったようです。


【続く】冬期総合訓練2日目(3月5日)その3

冬期総合訓練2日目(3月5日)その1

訓練2日目、この日から本格的に雪山に繰り出します。
とその前に、朝食後にいきなり講義があります。



まずは南極の医療事情についてのインフォームドコンセント。
インフォームドコンセントとは、
「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念。(WikiPedia)
だそうで、過去に医療担当(医師)として昭和基地に行った方から、
南極の医療事情を聞きました。

昭和基地では、整形外科、皮膚科、歯科の処置が多いそうです。
土木作業など屋外での仕事が多いからでしょうか。

南極では過去に二回、盲腸の手術をしたことがあるそうですが、
昭和基地の人員・設備ではこれぐらいが限界のようです。
脳を調べるCTスキャンは無いので、「頭を打った」というような場合は
検査や治療はできないとのこと。
ただ、南極からは遠隔医療システムというテレビ電話を使って、
国内の専門家医から南極滞在中の医師が技術指導を受ける仕組みは
あるそうです。

日本は世界で最初に南極観測を始めた13カ国のひとつですが、
他の国に比べて隊員の死亡件数は異常に少ないとのこと。
これは、これまでの医療担当や他の隊員の努力の成果と考えればいいのでしょうか。



続いて牛尾副隊長からフィールドワーク概論。
南極では、隊員は旅行ツアーの客ではなく、旅行ツアーの社員のような存在となります。
誰かに頼ることなく自ら考え提案、決断をしなくてはいけません。
そのためには、行動の判断基準、優先順位の考え方を理解することが大切となってきます。
牛尾副隊長からは以下のような考え方が示されました。
良い仕事、良い研究
<機材を破損、損失しない
<環境を汚染しない
<ケガをしない、させない
<命をなくさない
今後も南極観測を継続するためには、研究よりも命が大事という認識が必要ですね。


この後は、防寒着を整えて外に、雪の中に繰り出します。



【続く】冬期総合訓練2日目(3月5日)その2

2013年3月4日月曜日

冬期総合訓練1日目(3月4日)その2

遅れて着いた松本駅集合組も合流して、1時間ほどしてから開校式です。

普段は食堂に使っている場所を講義室と称して、暖房がほとんど無い
足元がすごく冷える場所で授業を受けます。
まさに“訓練”です。




スタッフと訓練生の自己紹介、小屋の主人の挨拶の後に
極地研究所の白石所長の講義が始まりました。
内容は、日本の南極観測のこれまでの歴史とその成果について。

南極観測の実施は法律で決まっているわけではなく、あくまでも
閣議決定でやっている事業だそうです。
国会の議決によって作られた法律に基づいている訳ではないので、
何らかの事情があれば、簡単に中止となることもあるという
非常に不安定な状態でこれまで観測が続いてきたのだとか。

南極の昭和基地にある建物の数は、なんと50から60もあるそうです。
南極越冬隊は30人程度ですので、ふだんは人間よりも建物の数の方が多いことになります。
ちなみに日本の南極基地は極地研の附属施設という位置づけになっているそうです。

日本は南極の領土権をすでに放棄しています。
でも他の国では領土権を主張しているところもあるとのこと。
そういった状況の中で、日本が南極観測を継続して、「結果」を残さなくては、
日本は南極における国際的な発言権を失うことにつながる可能性があるとのこと。
たかが観測ですが、その観測も国際政治の中では重要な意味をもっているんですね。



続いて、宮岡隊長の講義。
内容は今回参加する、55次隊の概要について。

ここ2年、昭和基地周辺の海が厚い氷に閉ざされてしまい、
物資を補給するための「しらせ」が接近することができず、
特に発電機用の燃料が十分に運搬できない状況となっています。

そこで、今回は燃料を節約するため、従来に比べてかなり隊員数を
減らすことが決まっています。
通常、越冬隊には調理担当や医療担当はそれぞれ2人配置されてきましたが、
今回はそれぞれ1人に減らされました。おそらく、みんなで交替で
調理をすることになるのでしょう。
観測隊の花形である、研究者の枠も削減するのだとか。
越冬隊の人数だけでみれば、これは40年ぐらい前、日本が南極観測を
始めた頃の規模になっています。



その後、牛山副隊長の講義。内容は越冬隊での安全の確保のついて。
南極越冬隊では、南極で発生した問題を自分たちだけで解決することが
求められます。
その中でも、安全確保は最も優先順位の高い事項になります。
日本の南極観測ではかつて、一人の隊員が吹雪の中、帰り道を
失って亡くなるという悲しい事件がありました。
二度と同じような悲劇を生まないようにするため、
観測隊員・特に越冬隊員には非常に高い安全確保についての意識が求められます。


その後、無線(トランシーバー)の基本的な使い方の説明があり、夕食。
夕食後にも講義が続きます。



夕食後の講義はルート工作の方法論。
南極は雪と氷に覆われた大地なので、道がありません。
仮に、足跡を付けても消えてしまいます。

そこで、オリエンテーリングの要領で、コンパスと距離計という道具を使って、
過去に安全が確認された道のチェックポイントをたどりながら、目的地へと進みます。

今回の訓練では、南極で使う精密なコンパスの使い方に慣れる目的のため、
翌日、コンパスと歩測を使ったオリエンテーリングをします。
この講義ではその方法の概略の紹介がありました。
詳しくは後日、紹介します。



講義後は自由時間。という名の、もちろん飲み会です。
夜遅くまで、楽しい時間を過ごしました。


【続く】冬期総合訓練2日目(3月5日)その1

冬期総合訓練1日目(3月4日)その1

南極に行くことが内定した人向けの最初の訓練、冬期総合訓練に参加してきました。
色々と仕事が忙しかったので遅くなりましたが、その内容を紹介します。


訓練の場所は、岐阜県と長野県の境界にある乗鞍岳という山のふもとです。
(写真では左よりにある赤い板に地名が書いてある付近です。)



中部地方、関西地方からの参加者はJR松本駅集合で、バスで現地へ。
それ以外の地域から参加する人は東京の立川市にある国立極地研究所に集合で、
そこからバスに乗って現地に向かいました。

自分は現在、札幌在住なので、前日に飛行機で羽田へ。
そのまま花粉症に苦しみながら(笑)立川駅前で一泊して、
翌日極地研集合のコースとなりました。



立川駅から多摩モノレールでとなりの高松という駅で降りて、徒歩20分ぐらいでしょうか。
色々な研究所が入った無機質なビル群の一角に、極地研はあります。

自分は集合時間の30分以上前に極地研に着いたのですが、既に数人が待っていました。
遠方から来ている方もいるはずなのに、遅刻はゼロ。みなさん気合いが入っています。

極地研からのバスは9時半に立川市を出発し、
14時すぎに訓練拠点となる乗鞍高原スキー場の鈴蘭小屋へ。

古いバスだったようで、高速道路を走っていても揺れること、揺れること!
このような激しい揺れでも酔わずに耐える訓練だったとか。(いや、そんな訳ないか。)

まだ札幌は雪の中だというのに、松本市周辺ははすっかり春っぽい感じです。
山に入った頃、ようやく雪が見えてきましたが、ほとんど融け始めていて、
これで訓練になるの???という程度の雪(氷と表現する方が的確?)でした。

そして、ここが宿となる鈴蘭小屋。



もう何年も南極の訓練に使われているところだそうです。
宿の中には毎年南極観測隊が制作している南極の写真入りカレンダーがあったり、
天皇陛下がお泊まりになった時の写真があったり、歴史のある宿のようです。



【続く】冬期総合訓練1日目(3月4日)その2

2013年2月28日木曜日

健康診断の案内

また、極地研から郵便物がやってきました。




今回は、健康診断の案内です。自分は3月11日、12日がその日だそうです。


健康診断は2日かけて行われます。
色々と検査項目が並びます。具体的な項目はこちらに詳しく紹介してあります。


健康診断でこんなしっかりした案内をもらうなんて、初めてです。
しっかりと案内しないといけないくらい、たくさんの検査があります。

案内書にはこんな一言が、
....検査データは将来的な医療改善と医学的研究推進のため、個人を特定できない形で活用される他は...使用されることはありません。
自分の健康診断結果が研究に使われるかも知れないってこと??


胃カメラ。人生で初めてです。今からかなり緊張。


その他、検尿や検便の道具とか、診断結果を記入する用紙も付いていました。


健康診断は色々と書類を書いたりと準備が必要なようですが、自分に残されたのはあと3日しかありません。
別に3日間暇があるわけではなくて、しっかりと仕事が詰まっているので、こうギリギリに送られてくるのはちょっと勘弁して欲しいものです。

2013年2月17日日曜日

冬山訓練への誘い

なにやら極地研から郵便が。

ちょっと分厚めな感じです。




本題とはズレますが、極地研のキャラクターが消印のところに。かわいいですね。




封筒の中には、来月行われる冬山訓練(正確には冬期総合訓練という)の案内が入っていました。


訓練内容はこんな感じ。野外で計3日間の訓練があるようです。
日付が去年のままなのはご愛嬌?



立派なテキストも入っていました。


まさに「南極に向けた訓練」って感じです。


なぜか南極大陸の地図も同封されていました。



それから、南極で使う防寒具などの採寸依頼。
結構、細かく計るみたいです。


ということで、3月4日から8日にかけて、長野県乗鞍岳でおこなわれる冬山訓練に行ってきます。
初めて一緒に南極に行く人と会う場でもある訳で、少し緊張していますが、精一杯頑張りたいと思います。




2013年2月16日土曜日

南極に行くことになりました。

このたび第55次南極地域観測隊として、南極・昭和基地に越冬隊として行くことになりました。


せっかくの貴重な機会なので、この間の出来事や思い出、感じたことを書き留めておくためにブログを始めたいと思います。



担当は基本観測・気象定常部門で、主に南極で行っている気象観測を担当することになるはずです。


写真は稚内市青少年科学館での南極展示より